北アルプスもテント泊もはじめての初心者による縦走記録 装備のあれこれ、反省点。これからチャレンジする人の参考になればうれしいです(・∀・)
by fwwwexb
カテゴリ
全体2013 上高地→西穂
2013 西穂→奥穂
2013 奥穂→槍ヶ岳
2013 槍ヶ岳→上高地
2012 上高地→涸沢
2012 涸沢→ジャンダルム
2012 奥穂→上高地
2011 沢渡→ババ平
2011 ババ平→槍→南岳
2011 大キレット→北穂→沢渡
未分類
検索
タグ
登山 北アルプス 2011 2013 2012その他のジャンル
最新の記事
2013.09.11 憧れの.. |
at 2013-09-15 20:00 |
2013.09.11 東京(.. |
at 2013-09-15 19:00 |
2013.09.12 奥穂~.. |
at 2013-09-14 20:00 |
2013.09.12 奥穂~.. |
at 2013-09-14 19:00 |
2013.09.13 奥穂~北穂 |
at 2013-09-13 20:00 |
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
2013.09.13 北穂~南岳
感涙のミートパスタ。
山を登るほどに感じるのが「食」の大切さ。
限界まで体力を使い切る登山では、
基礎体力だけではなく、何を食べて生き延びるか、
大げさでなくそう感じる時があります。
前夜は炊事の気力すらなくアルファ米。
今日の朝食もアルファ米。
アルファ米も悪くはないですが、
炊いた米とはエネルギーの感じ方が違います。
ここまでの道でも時折、
ガス欠の様に力が入らない瞬間がありました。
「ちゃんとした飯を食わないともたない。とにかく炭水化物。」
そう考えた私は、北穂でのランチを励みにしてきました。
しかも、、、
なんといっても北穂高小屋にはパスタがある。
そう2年前、この小屋でラーメンを注文してしまったことを
ずっと悔いていたのです。
なぜ北穂でラーメンだったのか、、、
パスタを食べている人も見えたのに、、、
帰宅してなお、
朱色に輝くナポリタンを注文しなかった自分を責めました(大げさでなく)
そして今日。
谷底に落っこちかけながら、辿り着いた北穂高小屋。
絶景のテラスにも目もくれず、
3000Mにある山小屋とは思えない、洒落た小屋内へ。
ようやく注文したのはナポリタン!ではなく、
思わず目に止まった、ミートソースパスタ(^ー^)
お水にスープ、そして粉チーズまで、、、
もう山に体が慣れてしまい、些細な事で感動します。
そしてボリュームたっぷりのパスタの美味いこと、美味いこと、、、
北穂高小屋でパスタをいただく。
2年越しの雪辱を、見事に叶えました。
それにしても、この小屋は洒落てますね、、、
多くの人が屋外のテラスを目指すためか、人が少なく静かな小屋内。
クラシックが流れ、穏やかな空気が流れます。
パスタを食べ、満足感と安堵感から放心状態で佇んでいると
隣のテーブルの紳士から
これから目指すという奥穂から、
先のルートについて相談を受けます。
奥穂の先は前穂にするか、涸沢から降りるかどうしようかと。
「既に横尾を通ったのなら、吊尾根がオススメ。
上高地を見下ろしての下山は最高ですよ!」とアドバイス。
話し終えて、、、
ああ自分もいっちょ前に
ルートを人に語れるようになったんだな、、、と
少々感慨、、、
賑やかな山小屋のテラス。
こんな時、ぼっちの私はちょっとした孤独を感じますが、
一人でザックを担ぎ出す緊張感と、自由さもまた良いものです。
そんな一人者にも、明るく声をかけてくれるのが
北穂高小屋売店のお姉さん。
2年前もそうでしたが、
到着した人には「お疲れ様です~」
出発する人には「いってらっしゃい!」
その一言がどれだけ嬉しいか。
(過酷な環境で働いて、大変なはずなのに、、、)
美味しいパスタ、感じの良いお姉さん。
私は北穂高小屋に、とてもとてもいい印象しかないです。
で、12時。
パスタパワーで、もう気持ちに揺らぎはありませんでした。
体は限界。でも気力と天気だけは、なんとか持ちそうだ。
そう判断した私は、大キレットに向かうことにします。
2年前、逆方向から必死でたどり着いた、思い出のルート。
いざ南岳へ
そうそう記憶の通り、
このルート、北穂高小屋までのラストが急登なんですね。
小屋を目前にいきなりのはしご下降。
これまでガスだらけだった山行も、
ここに来て、素晴らしい景色を見せてくれるようになりました。
この高度感、眺め、まさに北アルプス。
それにしてもグイグイ下りますね、、、
大キレットの名の通りといえばそれまでですが、
人間の記憶など曖昧なもの。
2年前に通った道なのに、ほとんど記憶がありません。
12時30分。北穂高小屋から30分。
思いの外時間が経過したところで下りきり、
トラバースルートへ。
またモクモクとガスが込んできました。
また難所らしい空気が出てきたな、、、
岩との格闘が、体に染み付いてきたのか、
自然と本能の警戒レベルがグイッと上がります。
岐阜側を覗くと、身震いするような岩肌。
これこそ穂高の岸壁。
誰も寄せ付けないこのオーラ。
一人、静かな山で対峙すると心の底から圧倒されます。
北穂高小屋から45分で、飛騨泣きのスタート。
2年前は飛騨泣きの場所すらよく分からなかったのですが、
今回はここだとハッキリ認識できました。
信州側から飛騨側へ。
ストンと落ちるようなルートですね。
まずは信州側の壁をトラバース。
足元は落ちていますが、
ぶっとい鎖とステップがあるので、しっかり三点確保で移動できます。
振り返るとこのような感じ。
渡り切ると、岐阜側に岩を乗り越えます。
すぐに飛騨泣き核心部。
岩を一つ越えただけで、岐阜側の方が暗く、気温も低く、
緊張感も高まるのがすごいところ。
一瞬ではありますが、切れ落ちた谷への急な下り。
鎖とクギに助けられ、なんなくクリア。
岩の上から手前に降りてくるルート。
さすがに岩場の昇り降りは、体が身につけている感じですね^^
難所を超えると、まさにキレットへの下り。
最低鞍部を目指して、ひたすら高度を下げます。
振り返るとこの壁。
2年前、コルからの登りが死ぬほどきつかったのを思い出します。
雲の切れ間。
これからのルートが垣間見えます。
コルまでは近い。
しかし、、、
コルからあんな急登だっけか?^^;
人間の記憶など実に曖昧なもの。
そして都合の良い事しか覚えてないという事実を、
何度もこの登山で実感させられます。
間もなく鞍部。
前回の大キレットで、一番思い出深いのが
この浮石だらけの登りでした。
穂高の真っ黒な岩壁に向かって、
それを拒むように滑る岩場をよじ登ったこと。
本当に辛かった、、、
そんな感慨にふけっていると
「チューーーン」
親指の頭ぐらいの小石が落石を起こしたようで、
銃弾のように頬をかすめました。
「怖っ、、、」
あんな小石でも、パチンコで弾かれたように飛んでいくのか、、、
感心すると同時に、少し目が覚めました。
何、余裕ぶっこいて思い出に浸ってるんだか。
北アルプスの岩場で一人なんだぞ。油断してる場合じゃないだろ、、、
A沢のコルには13:30頃到着。
北穂高小屋から1時間30分。
大キレットのコースタイムが3時間ですから、ちょうど半分。
15時頃には到着できそうだな、、、安堵感が湧いてきます。
では参りますか、この稜線に。
お久しぶりの長谷川ピークへ。
コルからの登り返しは、早速激しい登り。
十数分の登りで、振り返ればこの光景。
高度の上げ方が半端ない、、、
まさに要塞のような北穂の岩壁。
それでもこんな場面が、岩登りをしていて一番楽しい時間。
ほんの一つの岩場でもクリアするたびに感じる達成感。
しかも、、、
時間が時間だけに、すれ違う人がほとんどいないんですね。
この素晴らしくも緊張感のある場所で、
ただ一人、目の前の岩に没頭できる。
大勢人がいると、安心感はありますが、
ちょっとしたストレスや、焦り、迷惑をかけちゃいけないという心配。
いろいろ気になります。
でも今は一人。
大キレットに一人。
もちろん、とても幸せです。
よじ登ってきた稜線を振り返ります。
時折ヒューという風の吹き上がる音。
そしてその吹き上がる風の境から、
わた菓子のように、雲が生まれるのが見えます。
そして長谷川ピークへ。
正直、思いの外怖かったです。
経験済なので全く心配していなかったのですが、、、
この山行初の快晴。
ガスも無くなり、リアルに高度感が出てきたのが効いたようです。
しっかりしたステップもあるのですが、
足元が綺麗に谷底まで見える。
うーんじっくり見ると、やはり怖いわね~ (笑)
見上げれば越えるべきピーク。
慎重に登れば問題ありません。
ここもすれ違う人なし。自分のペースで進めるのが良いですね。
鎖をたどり、ピーク手前の岩場をクリア。
13時56分、長谷川ピークの表示に到着。
北穂高小屋から2時間。
ヨシヨシ ヨシヨシ 無事クリア。
本当に良かった。
いわゆる”難所”というのはここが最後。
命を張るような場所も、もうないはずです。
常に気を抜けない山道ではありますが、
やはり難所は絶対的に危険ですからね、、、
ほっとほっとの一息をついて、
最後の南岳まで、気合を入れ直します。
長谷川ピークを超えれば、南岳そばの急な登りまで、
比較的になだらかな道。
すれ違う人もますます少なくなり、
私の後ろ側にも人はいないようです。
確かに今14時。
これ以上遅くなると、日没の危険すらありますからね。
稜線を無心で下りながら思うのは
これまでのこと。
朝7時30分に穂高岳山荘を出発した自分。
よく考えれば、昨日は10時間。
西穂から壮絶な岩場との戦いをしたきた自分。
結構、前の事にように思えて、
ほんのここ二日間の出来事。
不思議な感慨に浸っていました。
もう”槍”の表示。
そう、もう槍が近づいている。
北穂に向かう数名すれ違った後、
完全に誰とも会わなくなりました。
岐阜側の景色も開け、一人で佇みます。
気を抜くと倒れそうに疲れているのに、
瞬間瞬間、素晴らしい景色が励ましてくれます。
天気が回復してきてくれたのが
何よりラッキー。
それでも、南岳が近づくたびにアップダウンが激しくなり、
さすがに疲労が限界に達してきました。
晴れて喉も渇く、、、
そんな時、ハイドレーションのホースが折れ曲がったのか、
上手く給水できません。
仕方なくザックを下ろしかけた瞬間
「ぐふっ、、、(心の叫び)」
腰に氷のナイフを突き刺すような、ぎっくり腰。
「痛っテ!!!!!!」
冷や汗にもならない冷や汗で、
何もできません。
その瞬間思ったのは、ここで動けなくなった場合どうしよう。
でした。
まさかいきなりヘリじゃねえだろ。
こんなまだまだ動ける奴が、
ギックリ腰程度で救助要請もないわな、、、
まあ這いつくばってでも、南岳に行こう。
夜には着けるだろうし、最悪ここでテント張れば良い話だ。
水を多めに飲み、
恐る恐る、ザックを担ぎ直します。
なんとかなんとかいけそう。
というか、重い荷物を担いでいる方が
腰が痛くない、、、なぜ!?(逆ヘルニア???)
腰に両手をあて、コルセットのようにフォローしながら
ゆっくり進みます。
またここから最後の急登か、、、
やっぱり楽じゃないな、、、
分かっていてもここまでとは。
稜線の”比較的”なだらかなルートを登り終え、、、
プチギックリ腰の恐怖で、一気にスローダウンした私が、
南岳への急登に取り付けたのは、既に15時を回ったころ。
既に大キレットの標準コースタイム
3時間を超過していますが、もう無事に辿り着くことだけが目標。
というかそれだけで、十分上出来です。
不思議な事にハードな岩場になるほどに
腰痛が消えます。
うーん、まさか体が岩稜登山に順応してしまったのか?
ただ、体力は限界。
一歩登るごとに息を整え、これまでになくペースが落ちます。
そして最後の試練の如く、また岩場はガスに包まれ、、、
急登に取り付いて15分。
そういえば2年前、この下りが初の難所体験でした。
富士山と八ヶ岳しか経験が無かった私が、
初めて直面した絶壁。
「これ結構やばい、、、」
そう思いながら、前後のパーティに迷惑をかけまいと
必死に足場を探したもので、、、
そんな思い出に浸るほどに、足が動きません。
満身創痍。
あと少しでゴールの期待と、まだたどり着かない絶望。
交互に気持ちが回転しながら、30センチづつ歩を進めます。
しっかり岩場の登り。
そして見下ろせば、必死の歩みの成果。
もうそろそろゴールじゃないかな、、、
では、な~~~~~い^^
そういえば、この落石の川みたいな場所があったことを
おぼろげな記憶が思い出します。
滑る足元。
しかしこれだけ疲れていても、
足だけはほんの少しながら、休むことなく動き続けます。
きっと、、、足を止めたら終わる。
そんな本能が働いているような気がします。
落石リバーを登り切ると、岩岩地帯。
まだ何も見えませんが傾斜が緩くなり、
そろそろゴールかという期待が、高まってきます。
もう間もなく16時。
テントなら飯の時間。
もう細かい思考がなくなり、
このまま永遠に歩けるような感覚におそわれていました。
(脳内麻薬が出始めていたようです^^)
ぜんまい仕掛けの人形のように
超ユックリと、ペースを変えず歩く私。
あ、、、
ようやくだ、、、登り切った、、、
驚くほど感慨がありません。
心の遠くで安堵感がある感じ。
間違いなく、ここまで来ました。
小屋まではあと少しだ、、、
ようやく、、、寝れる、、、
ただいま!この看板。
大キレットに武者震いして突入した2年前。
足腰が限界のため、ぜんまい仕掛けモードで歩く私。
南岳小屋前でくつろぐご夫婦に話しかけられます。
「キレット越えてきたの?」
「ええ、、、12時に出ましたけど^^」
「結構時間かかるんだね~明日行くつもりだから、、、」
「いえ、私は特別遅いほうなんで、、、(汗)普通の方なら3時間ですよ。」
南岳小屋着は16時。
北穂高小屋からがっつり4時間かかりました。
朝の穂高岳山荘からは8時間30分経過。
そう特別遅いんです、私は。
でも、、、、こんな満喫できた大キレットもないんだから。
そして、やがて哀しきテント泊。
満身創痍だろうが、設営して、ご飯を作らねば死んでしまいます。
小屋に寄りテントの受付を済ませ、
面倒な水の購入を先に済ませます。
少々心配していたテント場の混雑状況は問題なし。
まっ平らな設営場所を確保できました。
しかしザックを下ろすと、腰激痛が再発。
イテテテテテテ、、、、
前かがみの体勢のまま、なんとかテント設営を完了。
大キレット踏破の喜びを、なっちゃんで乾杯。
飲み水切れを心配して、北穂高小屋で買ったもの。
実は登り始めると、ほとんど休憩を取らない私。
(歩みが遅いせいか、休憩がストレスになるんですよね、、、笑)
ジュース一本を運搬する羽目になりましたが、まあ良しとしましょう。
間もなく17時30分。
日没前に飯を作るぜ!
これだけ体力を使ったのだから、ガッツリ食いましょうということで、
無洗米を炊飯です。
そして今日のメインディッシュは
新たに投入した【極食】!
ネットで見つけた瞬間から、
私の厳選山ごはんランキングに、エントリーされた逸品です。
お湯をかけるだけで、本格的な料理が完成するという
フリーズドライ食品。
実に興味をそそります。
「十勝牛すき焼き」と「猿払産ホタテのクリーム煮」という豪華ラインナップ。
今日の日に、相応しい一品と言えましょう。
とは言え下界で検証してこなかったので、
出来上がりに少々の不安が。
ほとんど重量のない、乾燥物の塊。
お米は完璧な炊きあがり、、、(涙)
芯もなく、なんとおコゲもなく、ツヤツヤの炊きあがり。
頑張ったご褒美だな。
こうなると極食の責任は重くなります。
お湯を入れて1分もすれば、すき焼きの出来あがり!
ん?
出来上がり、、、 (不安)
お湯を吸っても、量が増えるわけではないようです。
見た目はミニチュアすき焼き。
しかしご飯に乗せていただくと、
「すき焼きやああああ~」
ガツガツ、ガツガツ、ガツガツ
ホタテのクリーム煮も、ビジュアルはミニサイズなのですが、
本格的なお味。
こちらもご飯とガツガツ、ガツガツ。
ボリュームは全くないのですが、
味は超本格派。
なんとも不思議なご飯でした。
私は大盛りご飯といただいたので、大満足です。
重量も軽いし、山めしにはピッタリですね。
(極食単体ではお腹は膨らみません^^;)
食べ終わると、ふーーーーっと一息つき、
体が動かなくなりました。
腰の激痛はさらに悪化。
でももうあまり不安はありませんでした。
ここからなら、どうにでもなる。
早々に横になったのですが、
小屋の発電機の音が気になり、落ち着きません。
でも確か20時頃、ストンと発電機が落ちると静寂が広がり、
その瞬間、爆睡に落ちました、、、
by fwwwexb
| 2013-09-13 19:00
| 2013 奥穂→槍ヶ岳